心的鎖国

 小松左京の『拝啓イワン・エフレーモフ』とか読むと十全にはわからなくても何かこのジャンルは凄い事になるぞ〜という怖いぐらいの期待感が、60年代という時代がもっていたパワーみたいなものが字面からも伝わってくる。ちょっと羨ましい。所で有栖川有栖の『ペルシャ猫の謎』を読んだ。正直肩透かしをくらった印象が強く残った。良かったのは安部公房のタイトルをもじったという『哄う月』タイトルと展開から多分ああなるんだろなあとおもったらこうきましたかぁ〜という見事なフェイントぶり。見事に月光にしてやられました。表題作のペルシャは著者自身もアンフェアーじゃないか?と杞憂してたが、ヴァン・ダインになんかこんなような根拠で真相を暴く話があったような気がする。いずれにせよ有栖川作品らしくないというのは確かかも。『ブラジル蝶の謎』良かっただけに残念だったかも。

 所で皆さんはNOAH中継の三沢光晴の海外遠征SPを三田だろうか?私はこれを凄く楽しめてみれた。なぜなら三沢の外人感が全面に押し出されていたからだ。なぜNOAHでは外人が虐げられるのだろうか(まあ新日本プロレスより増しとは思うけど)より顕著な形で現れたと思う。まず三沢はダグ・ウィリアムスとスコーピオとしか絡もうとはしなかった事。これがもつ意味は勿論、いかに外国人選手に対して信頼感がないかをあらわしているとしか思えないだろう。確かに狭いリングでリズムが取りずらいだろうし、そこでヘンな怪我はしたくないのはわかるのであるが・・・。ドイツでは対戦相手が共に未見の選手だったせいか攻撃を加える一方で殆ど技は丸藤正道扮するタイガーマスクが担っていた。なんかこんあ試合を見せられるとどう考えてもNOAHの外人の未来は決して明るいだなんて嘘でも思えなくなってくる。というよりも三沢の頭からは多分未知の強豪なんてアングルを組むような発想なんてものは到底出てくる事はないだろう。最初の下積みがありそこから成り上がっていくという一本道しかない。外人選手に纏わる出目の一本化アングルの貧困がその辺の偏見と価値感からでてくると私は思うのである。

 けれども少し笑えたのはジョバーに用意したのがタイガーマスクだという事だ。三沢の感覚からして自分のお気に入りを海外の選手なんかにジョブさせたくはないのだろう。それはわかる。しかしよりによってタイガーというのは意外。というかぜんぜんタイガーに関して思い入れがないのだろうか。むしろ忌避しているからこその選択なのだろうか?。

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