幻の秋山

 エラリークイーンは国名シリーズとドルリーレーン4部作以外は正直?な作品が多いと思う。少なくとも「第八の日」「紺文字」等は個人的琴線には触れるにはいたらなかった。しかし最近読んだ「三角形の第四辺」という作品は読んでいて面白かった。クイーンといえば兎に角ロジカルに犯人をジリジリと詰め寄っていく感じの作品が多く(日本でも多くの信奉者が多く有栖川有栖法月綸太郎等の作風に強く受け継がれている)数ヶ月前に読んだ「オランダ靴の秘密」などは絆創膏を見事にアリアドネの糸に変え、謎を解いていった。それにくらべれば、三角はアクロバティックな考古学者が化石に付着した砂を刷毛で取り除くような精緻な部分はあまり見られなかったが、最後の最後に待ち受けるどんでん返しには驚かされた。ある意味ミステリのコード(お約束)を知らないとこの逆転振りは楽しめないのではないだろうかとは思う。同様に最近読んだ中でサスペンス的に面白かった作品として岡嶋二人の「ダブルダウン」も付け加えておこう。


 なんてミステリの事を書いたがメインはNoah中継の感想である。選手は塩崎豪の7番勝負特集だった。OAされたのは秋山準三沢光晴小橋建太 。個人的には田上明とスコット・スタイナー戦が見たかった。もし今この二人と面白い試合が出来るようになれば相当な逸材といった所だろうか。

 秋山戦で思ったのは冷酷無比でいつもシニカルに突き放した感がある秋山が皮肉にも、主役である筈の塩崎以上にそのシチュエーションに沿ってはまってしまっていた所である。昔も志賀賢太郎とのいじめマッチが一番面白かったなあという印象がつよかったが、今でもその感想は変わらない。この一戦に関しては普段の秋山を考えると馳浩的というか蝶野正洋的というか・・・最近は武藤敬司もそんな感じになっているが、一歩引いてメタ的に鳥瞰しているいう風な感じしか受け取れなかった。しかしこの一戦にかんしてはあまりにも秋山とフィットしていて非常に秋山が試合と密着し余計なノイズを散らかさず取り組んでいたと思う。その点において普段の秋山にない面白みや真摯な姿勢が見れて面白かった。まあ、本来の塩崎を持ち上げる為という目的性からは逸脱してしまっているようだが・・・(続きは次回)


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